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ケロイド、傷跡治療の最前線 [プラタナス]

No.4708 (2014年07月19日発行) P.3

小川 令 (日本医科大学形成外科准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • 「ケロイド」と聞くと、広島や長崎の原爆を思い浮かべる先生方もいらっしゃるかと思う。広範な熱傷や外傷、もしくはBCG接種やピアスなどで、傷跡が赤く隆起し、ケロイドや肥厚性瘢痕と呼ばれる状態となる。病理学的に言えば、真皮の深い部分である網状層が過剰に増殖した状態であり、膠原線維だけでなく毛細血管や末梢神経線維の増殖を伴う。見た目の悪さばかりでなく、時に眠れないほどの痛みや痒みを呈する状態である。

    皮膚科の先生方は主として表皮や真皮の浅い部分である乳頭層の病変を診ておられるので、真皮網状層の病変を専門とする先生はほとんどおられず、熱傷や外傷を多く診る形成外科が専門に治療してきたという経緯がある。

    ケロイドについての理解はここ10年で劇的に深まり、治療できる疾患となった。BCG接種や小さなニキビから生じるケロイドも、開胸・開腹手術で生じた線状の細長い肥厚性瘢痕も、ほぼ同じ機序で発生することが示唆されている。この発生機序で特に重要なのが、創にかかる物理的刺激である。

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