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救急医療としての性暴力被害者診療 [プラタナス]

No.4721 (2014年10月18日発行) P.3

加藤治子 (NPO性暴力救援センター・大阪SACHICO代表)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • 性暴力被害に遭った女性は、誰にも相談できずに恐怖と屈辱と混乱の中で苦しむことが多いが、できるだけ早く身体的および心理的ケアを受けることが重要である。

    被害内容から産婦人科的診療は必須であり、①緊急避妊薬の処方、②性感染症対策、③外傷の診断と治療、④証拠物採取の4点は、おおよそ72時間以内に実施するという時間的制約があることを考慮すると、性暴力被害者の診療は救急医療の範疇に入る。

    一方で、産婦人科の臨床医が被害を受けた患者を診ることは決して多くないが、日々の診療に忙殺される中で、被害者の心情に配慮した診察やケアができているかというと、ほとんどできていないというのが現状である。私自身、地域の周産期センターである阪南中央病院の産婦人科で長年働いてきたが、女性への暴力が心身に及ぼす影響の大きさを感じつつも、場当たり的な診療をしてきており、ずっと懸案事項として自分の中で抱えていた。

    そこで、同じ問題意識を持つ仲間たちと、性暴力被害者のためのネットワークおよびその拠点を作ろうと準備を始め、病院長と事務長の協力を得て、2010年4月、阪南中央病院内に日本で初めてのワンストップセンター「性暴力救援センター・大阪SACHICO(Sexual Assault Crisis Healing Intervention Center Osaka)」を開設することができた。

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