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【識者の眼】「できることをできる範囲で実践する看護師『キャンナス』とは」中村悦子

No.5025 (2020年08月15日発行) P.62

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2020-07-31

最終更新日: 2020-07-31

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全国ボランティアナースの会「キャンナス」をご存じですか? 私は地元の病院で訪問看護業務に就いていた時に、友人の薬剤師から「キャンナス」を教えてもらいました。「キャンナス」とは、できる(CAN)ことを、できる範囲で行う看護師(ナース)の意味から名付けられた造語です。その役割は、時には家族の手替わりとして、入院中の外出や外泊支援、旅行の付き添いや、家族が留守中の滞在型支援、終末期などの不安軽減のための宿泊型支援、受診の介助等、相互扶助の考えのもとに介護保険制度下では対応しきれない看護を実践しています。

また、「キャンナス」のもう一つの顔は「災害支援ナース」としての活動です。私自身も病院に在職中に「キャンナス」として登録して東日本大震災で多大な被害に遭った宮城県気仙沼市に5回も訪問させていただきました。この経験から、病院でも施設でも在宅でも、そして避難所という条件下であっても「日頃」の生活リズムが大事であり、「日頃」を支える担い手が滞在する通いの場の必要性を痛感して、ショッピングセンターの中に「みんなの保健室わじま」を作り、正式に「キャンナス」として活動を開始しました。 「キャンナス」は地域で活動する看護師なので、語尾に活動拠点の地名を入れることになっています。ということで2014年4月に全国で75番目となる「キャンナスわじま」が誕生しました。

「訪問看護ステーションみなぎ」の管理者を仰せつかっている現在もプロボノ精神を発揮して活動しています。最近の主なご依頼は、入院患者さんの家族とともに、場合によっては家族の代わりに食事介助をさせていただいたり、難病の小学生の合宿に付き添って宿泊するなど、制度の隙間を埋める活動を実践しています。8月になればお墓参りの付き添いなどのご依頼が予想されます。1時間でも2時間でも、時間のある潜在専門職の皆様がお仲間になってくださることを切望しています。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[みんなの保健室わじま][コミュニティナース

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