株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「必要な栄養を必要な方に必要なだけ〜海凪の取り組み」中村悦子

No.5031 (2020年09月26日発行) P.56

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2020-09-03

最終更新日: 2020-09-03

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私が小売販売業を始めてから6年が経ちました。「え? 訪問看護師では?」と不思議に思うかもしれませんが、地元では老舗のショッピングセンターの中に地域の保健室「みんなの保健室わじま」を立ち上げた時から、介護に関する商品を販売しています。

嚥下調整食や栄養補助食品、病態別の栄養剤の市場は、今まさに成長期であり様々な商品が登場しては消えていく状況です。最近では増粘剤やゲル化剤、そして口腔ケアグッズも種類が多くて、なかなかついていけません。サンプルが沢山提供される商品もありますが、有効に使われていないのが現実ではないでしょうか。病院に勤めていれば個人の判断で患者さんに試してみることは困難です。NSTがしっかり稼働していれば別ですが、サンプルをいただいても知識として満足している専門職も少なくないです。

様々な研究のもとで開発された商品を必要な患者さんにリアルタイムに届けたい。そんな思いで「みんなの健康サロン海凪」を立ち上げました。栄養補助食品は通販で箱買いというパターンが多いですが、海凪では、ばら売りをしています。必要な商品を、必要な人に、必要なだけをモットーにしている海凪は、儲かっていません。しかし、そんな中でも口コミで広がりつつあり、病院から聞いたと言って買いに来られたり、訪問看護を利用してくださる患者さんやご家族だけではなく、地域の専門職にとっても栄養アドバイザー的な存在になってきました。

「在宅で栄養って必要なの?」という専門職もいますが、「何を食べたらいいか」「どうやって食べたら安全か」「それはどうやったら手に入るのか」などの悩みで困っている方は沢山います。そんな皆さんとしっかり向き合って、病態はもちろんのこと、身長や体重、そして活動量やストレスから計算した栄養の知識を頭の片隅に置きつつ、食べたいものを食べたいだけ、安全に提供できる環境作りに尽力したいと思います。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[みんなの保健室わじま][コミュニティナース]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top