Kさんは60歳代女性の薬局を営まれた活動的な人で、私の外来に最初にいらした時は間欠的な咳嗽が主訴でした。見た目も華やかで、優しい雰囲気が滲み出ていました。
背部の聴診で間質性肺炎を示唆する音が左やや優位に聴取されました。考えられる疾患をお伝えしながら、当初は年に数回診察する頻度で対応していました。通院してから2年前後経過した時に咳の頻度が増え、胸部X線写真での陰影も増強してきたので、確定診断と今後の治療方針を確かなものにするために生検が必要なことをお話しして、同意されて生検も無事に終え確定診断がつきました。
私は日頃から、患者さんに新しく薬剤の投与を提案する時は根拠をしっかり示すことを意識していますが、Kさんは疾患の理解もよく、自らの日常生活で何が問題なくでき、どのようなことができなくなってきたかを、いつもきめ細かく話してくれ、治療を開始する上でとても参考になりました。
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