患者は75歳の男性。プールで歩行していて急に意識を失ったが、すぐに回復した。上腕と背部の痛みがあり某院を受診したところ、特に問題ないと言われた。2日後、背部痛が改善しないとのことで、歩行にて当クリニックを受診した。聴診では心雑音が著明で、胸部X線を施行(図1)。心エコーにて大動脈解離が疑われ、直ちに救急車にて病院に救急搬送。1週間後、奥さんから電話があり、当日に緊急手術したとのこと。後日、病院の心臓外科医から、急性大動脈解離にて、緊急上行大動脈置換術を施行し、その2日後、腕頭動脈破裂にて緊急腕頭動脈修復術を施行した、との報告があった。術後、大動脈解離による脊髄梗塞のため下肢対麻痺と排尿障害が出現した。その後リハビリを経て退院し、杖つき歩行となった。
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