No.5046 (2021年01月09日発行) P.65
荒木優子 (共永総合法律事務所・弁護士)
登録日: 2020-12-04
最終更新日: 2020-12-04
昨年9月に勤務医を対象とした勤務実態のアンケートが実施されたのをご記憶にある先生方もいらっしゃると思います。その調査結果が2020年9月30日に実施された厚生労働省が主催する「医師の働き方の推進に関する検討会」において報告されました(参考資料3「医師の勤務実態について」以下「本調査結果」の全文→https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000677264.pdf)。
本調査結果の中から年1860時間以上の時間外労働を行っている医師の割合(診療科別・年代別)の上位を取り上げます。なお、年1860時間というのは、現在検討されている医師の時間外労働の上限となる時間です。詳しくは、本連載の「時間外労働の上限規制(1):医師の適用は2024年度以降」https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15465「時間外労働の上限規制(2):医師は一般労働者の1.5〜2倍の上限に」https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15467をご覧ください。
本調査結果で筆者が着目したのは、年代別に見た時に、卒後3〜5年目の医師の割合が高いことです。卒後3〜5年目は、初期研修が終わり専攻医に相当する時期で、専攻した科の経験を積み、専門医取得を目指す重要な時期であると思います。また、当該科の中では若手であることから、診療業務に付随した様々な業務を依頼されることと思います。
外科については、一括りに外科とされていますが、この中には消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科等の科が含まれており、細分化された科毎のデータに関心があります。
なお、救急科が最も多い18.1%でしたが、救急科は他の科よりもシフト制(交代制)勤務の導入が進んでいる傾向にあり、勤務にメリハリがあるという声も耳にします。
年1860時間の上限規制を遵守するには、若手医師(20代男女、30代男性)と外科医の長時間労働の改善への取組みが鍵となると思います。
荒木優子(共永総合法律事務所・弁護士)[医師の働き方改革]