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傷のケアは心のケア[プラタナス]

No.5042 (2020年12月12日発行) P.3

小川 令 (日本医科大学形成外科学教室主任教授)

登録日: 2020-12-12

最終更新日: 2020-12-09

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  • 形成外科という診療科は、主として体表面に生じた異常・変形・欠損を手術を中心に解決し、機能的・整容的に正常に・美しく改善することを目的としています。患者さんの命が助かるようになったこの時代に、quality of life(QOL)を改善することに全力を注いでいる診療科と言えます。

    たとえば、転んで顔に傷ができたとします。仕事先では「どうしたんですか?」と必ず聞かれます。会う人会う人すべてに「どうされました?」と。聞くほうは挨拶がわりなのですが、本人にとっては心の負担になるわけです。毎日が憂うつになります。人と顔を合わせるのも億劫になります。この程度の治るのがわかっている傷であれば良いですが、形成外科で扱っている傷はもっと重症である場合もあります。

    写真の患者さんも、傷がケロイドになってしまい、徐々に目立つようになってきた経緯がありました。私の外来にみえたときは明るさがまったくない仮面様顔貌でうつ状態でした。

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