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総合診療×医学教育でジェネラリストを育成する[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.23

鋪野紀好 (千葉大学医学部附属病院総合診療科)

登録日: 2020-12-30

最終更新日: 2020-12-18

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私が医学生の頃の話です。臨床実習で千葉大学医学部附属病院総合診療科の生坂政臣教授の診療を目の当たりにする機会に恵まれました。患者の物語に対して誠実かつ真摯な姿勢で傾聴し、そこから得られる臨床情報を基に、心理・社会的問題を含めた臓器横断的な診療が展開されていました。このジェネラルな診療こそ、自分がめざすべきものだと感化され、以来一貫して総合診療医をめざしてきました。

歳月が経ち、私は現在、千葉大学医学部附属病院総合診療科で勤務しています。大学病院では診療や研究はもちろんのこと、医学生や初期研修医などの教育を行っています。年間で医学生は130名、初期研修医は40名程が実習や研修にやってきます。そんな若手と接していくなかで、ジェネラルマインドを持った人材を育成することが、私が今行うべきことだと感じるようになり、積極的に人材育成に携わるようになりました。

しかしながら、教育経験を重ねるごとに、「自分が行っている教育方法が正しいのか?真に効果的な教育が実践できているのか?」と自問自答を繰り返すようになりました。そこで私は一念発起し、米国マサチューセッツ総合病院の医療者教育学修士(Master of Health Professions Education:MHPE)で教育理論を一から学ぶことにしました。2年間の修士課程での経験を通じて、“Evidence Based Medical Education”(根拠に基づく医学教育)について自信を持って実践できるようになったのは、何事にも変えがたい収穫でした。総合診療×医学教育のスキルを活かして、総合診療医ないしジェネラルマインドを持った若手医師の育成に尽力していくことで、医療に貢献したいと考えています。



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