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コロナ禍での吸入指導のススメ[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.36

近藤りえ子 (近藤内科医院)

登録日: 2020-12-31

最終更新日: 2020-12-21

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コロナ禍に見舞われて生活様式が一変し、何事にも非接触が推奨され、会話にも気を使うなんて1年前には想像もしませんでした。呼吸器疾患に関しては、COVID-19感染で喘息の重症化が懸念されましたが、WHOの緊急事態宣言後、吸入アドヒアランスが14.5%向上したと報告1)され、また、宿主細胞のウイルス感染を媒介するACE2とTMPRSS 2の発現を吸入ステロイドが抑制することが解明され2)、わが国では最悪の事態は避けられています。

12年前に現主任教授である堀口高彦先生と患者さんの吸入操作を確認した時、あまりに誤操作が多くて愕然としました。そこから試行錯誤を繰り返し、全国の患者さんに正確な吸入操作を伝えられるように環境再生保全機構の協力を得て、無料で配布できるDVDを作成し、ネット上でも視聴できるようにしました。また、本誌No.5022(2020年7月25日)の吸入指導の特集に掲載して頂いた舌下げ吸入法「ホー吸入」も、YouTubeに“吸入時のベストな舌の位置「ホー吸入」Ver.2”としてアップしています。

吸入指導は、練習器を使いながら患者さんに説明しますが、コロナ禍では感染対策が必要です。上記2つのツールを利用すれば、①目で見える正確なデバイス操作も、②目で見えない口腔内の舌の状態も、リモートで指導可能です。ただし、確認は必要です。「ホー吸入」は、吸入時に「舌をさげ、喉の奥を広げ、吸入器のベクトルを気管の方向に向ける」だけで、驚くほど薬剤の効果が上がります。しかも追加コストも、道具も要りません。2020年9月のヨーロッパ呼吸器学会(Web)で初めて世界に向けて発信し、著名な教授陣から賛同のお声を頂きました。さらに研究を重ね、世界中の呼吸器疾患患者さんの治療コントロールの底上げに繋げていきたいと思っています。

吸入薬が処方されている患者さんにとって定期的な吸入は必要不可欠ですが、COVID- 19の流行下では特に重要度が高まります。より効果的でリモートでも可能な吸入指導のために、上記ツールがお役に立てましたら幸いです。

【文献】

1) Kaye L, et al:J Allergy Clin Immunol Pract. 2020;8(7);2384-5.

2) Peter MC, et al:Am J Respir Crit Care Med. 2020;202(1):83-90.

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