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新型コロナウイルスの行方[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.5

尾﨑治夫 ( 東京都医師会会長)

登録日: 2021-01-01

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2020年3月の中旬から、東京都医師会として本格的に新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策に関わって、既に7カ月が経過した。この間に第一波、第二波を経験し、現在は第二波が下げ止まることなく、100人から200人台の感染者が続いている(2020年10月現在)。東京都はこの間、コロナ感染者がゼロになったことが一度もないというのが他の道府県にない特徴であり、医療機関も心休まることなくコロナと向き合っているわけで、他の道府県と比べて医療関係者の疲労の度は激しいと言わざるをえない。新年に、このコラムを読者が読まれる頃、感染者数はどうなっているのであろうか。

京都大学の上久保教授によれば、既にいろいろな意味で日本人は免疫を持ってきており、このまま社会活動を拡大し続けても、12月にはコロナ感染は収束すると予測されている。一方、重症者や死亡例は減る傾向にあるが、このウイルスは容易には収束しないと考える学者も多い。我々としては多くの専門家に意見をお聞きし、いろいろな学説に目を通しながら現実の感染者の推移を見て、東京都の関係部署と連携しつつ政策提言をし、常に悪い事態を想定しながら都民に意見発信をしているところである。

唾液による飛沫感染が主な感染経路とされるコロナの場合、マスクを外して飲食や会話を長時間続けるような場所が最も危険とされる。すなわち、接待を伴う夜の街がそれに当てはまる。大都市東京の夜の街の規模は、他の道府県とは比べものにならないくらい大きい。

東京都健康安全研究センターの「東京都におけるCOVID-19の疫学分析」によれば、感染経路ごとの症例数のピークは時期が異なり、夜の街→孤発→家族内感染→院内感染の順に症例数のピークが推移したという。第一波では東京都全体の流行に先行して、港区、中央区、千代田区の夜の街に感染が起き、第二波では同じく東京都全体の流行に先行して、新宿区の夜の街で感染が起きていることがわかった。

今後の流行に際しても、夜の街のモニタリングを続けることが市中感染拡大を防ぐために重要であり、兆候が現れたときの迅速な対応ができるかどうかが特措法の改正も含めて、今後の課題となるだろう。

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