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【識者の眼】「Z世代のワクチン接種は進むか?」槻木恵一

No.5072 (2021年07月10日発行) P.59

槻木恵一 (神奈川歯科大学副学長)

登録日: 2021-06-30

最終更新日: 2021-06-30

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「Z世代」とは、現代の若者を示す用語の一つで、だいたい1997年以後に生まれた世代を指すという。私が若い頃は、若者は「新人類」と言われていた。Z世代も時代を考察するための象徴的な表現として用いられている。

このZ世代の特徴で面白いのは、多様性を認め、個の自立性が高く、堅実なところである。年長者の言うことも聞くが、それに実は組しないところもあるようだ。Z世代は、今のワクチン接種の状況をどの様に見ているのだろう。

著者の大学でも大学生に対するモデルナ社製のワクチン接種の準備が始まっている。しかし、接種は授業時間の間でなく、放課後に行うことにした。これは、学生が受けるべき授業はシラバスで規定されており、シラバスに即したカリキュラムの履行を大学は約束しているからである。医療系大学なので、多くの学生が接種を希望しており、自らの健康を守るという意義と同時に、感染を広げないという社会的意義の重要性の認識が一般の学生より進んでいると思う。

あえて放課後に接種を行うのは、接種の判断について個人の意見を尊重したいという理由もある。

Z世代の特徴を鑑みると、彼らはワクチンの意義を理解する一方で、全く異なる分析もしていると考えた方が良いと思う。若い世代のワクチン接種は感染者数の減少に重要な要因だが、その社会的意義の強調だけでは、「話だけは聞きました」ということにならないだろうか。

指導者には、ワクチンの正負の両側面から情報提供をしていただき、多様性に配慮した真摯な説明が求められている。オリンピックありきでは、共感は得られないだろう。

槻木恵一(神奈川歯科大学副学長)[新型コロナウイルス感染症]

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