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【識者の眼】「家庭医と病院総合診療医」草場鉄周

No.5085 (2021年10月09日発行) P.60

草場鉄周 (日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)

登録日: 2021-09-29

最終更新日: 2021-09-29

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総合診療医には大きく分けて2つのタイプがある。

1つはいわゆる“家庭医”として診療所を中心に外来診療、訪問診療、さらには地域包括ケアを含む地域活動に従事するスタイルの総合診療医。

もう1つは病院をフィールドとして外来診療、病棟診療、救急医療などに幅広く従事するスタイルの総合診療医で、これを病院総合診療医と呼ぶ。

日本プライマリ・ケア連合学会が認定する家庭医療専門医が実際に勤務する場所を分析すると、実は診療所と病院が半々であり、家庭医と病院総合診療医という分類が比較的若い世代の総合診療医にとってはしっくりする概念であることが理解できる。

病院総合診療医は内科医と何が違うのか、という指摘がよくある。特に内科の中でも総合内科医との違いを問われるとなかなか悩ましい。ここは論者によって意見が多様なところだが、「総合内科医は内科領域における幅広い鑑別診断と入院診療の深さと的確さが特徴」であり、「病院総合診療医は多疾患を合併する患者への包括ケアや心理・社会的に複雑な問題を抱える患者へのアプローチ、そして地域の診療所との入退院時の的確な連携などが特徴」ではないかと私は考えている。

そして、日本プライマリ・ケア連合学会は日本病院総合診療医学会と「総合診療専門医取得後のキャリアに関する2学会合同声明」(http://www.primary-care.or.jp/statement.html)を7月に発出した。総合診療専門医を対象に、病院、診療所、また在宅診療など環境により特化したサブスペシャルティ研修を提供することで、さらに現場に特化した質の高い技術を磨いてもらう機会を両学会が連携して整備したのである。

総合診療の世界は実に奥深く広い。家庭医と病院総合診療医が両輪となって日本の医療の質を高めるべく活躍する時代が来るのを心待ちにしている。

草場鉄周(日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)[総合診療/家庭医療]

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