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【識者の眼】「日本では本当の専門医は少ない」渡辺晋一

No.5085 (2021年10月09日発行) P.60

渡辺晋一 (帝京大学名誉教授)

登録日: 2021-09-30

最終更新日: 2021-10-25

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日本では病院が多いが、医師や看護師が足りないので、病床は空いている。一部の評論家は日本医師会を非難するが、開業医はワクチン接種を行えるが中等症以上のコロナ感染者を治療するのは難しい。つまり病床拡大に抵抗しているのは、医師会よりは厚生労働省管轄の独立行政法人の病院のようである。

そもそも感染症対策の基本は①感染者の発見、②隔離、③治療である。しかし厚労省は感染者の発見に必要なPCR検査を絞り、①②には後ろ向きであった。さらに日本の感染症専門医も幅広いPCR検査に反対し、分科会はGoToキャンペーンに感染拡大のエビデンスがないと言う。最近厚労省はPCR検査より特異度、感度も劣る抗原キットの販売を薬局で認可し、検査拡大の姿勢を示したが、先進国では以前からいつでも誰でも無料でPCR検査を受けられる。

このように日本の感染症専門家には疑問点が多い。こんなことを言うと「感染症が専門でないのに、感染症専門医を非難するのはおかしい」という人がいるかもしれない。しかし私の英語論文は約300編で、impact factorの合計は900と高い。しかも私の論文の3〜4割は皮膚感染症に関するもので、日本感染症学会・日本化学療法学会のガイドラインの皮膚軟部組織感染症は私が執筆している。確かに私はコロナ感染症患者を診察していないが、テレビに出る感染症専門医も救命救急医より患者の治療を行っていない。何しろ感染症科や感染制御部は耐性菌対策のために急遽作られた診療科で、その教授の多くは抗菌薬の治験に携わった医師で、必ずしも感染対策の基礎を学んでいるわけではない。そのためテレビなどを見ると、司会者や評論家の発言にひたすら「おっしゃる通りです」という医師も少なくない。

では感染症科以外はどうであろうか。私が所属する皮膚科では専門医は既に6000〜7000人以上と海外と比べ非常に多いが、海外では皮膚科専門医の数は絞られている。それは患者の数に応じてレジデント枠が決まっているからである。確かに日本の皮膚科は、基礎研究は進んでいるかもしれないが、治療に関しては欧米ばかりでなく、東南アジア諸国より劣っている。実際重症アトピー性皮膚炎患者の数は圧倒的に日本が多い。その要因は日本皮膚科学会のガイドラインは欧米と異なり、エビデンスではなく、利益相反に基づいているからである1)

【文献】

1)渡辺晋一:学会では教えてくれないアトピー性皮膚炎の正しい治療法. 2019, 日本医事新報社.

渡辺晋一(帝京大学名誉教授)[医療制度]

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