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【識者の眼】「マイナンバーカード保険証化と高額療養費」岡本悦司

No.5091 (2021年11月20日発行) P.58

岡本悦司 (福知山公立大学地域経営学部医療福祉経営学科教授)

登録日: 2021-11-04

最終更新日: 2021-11-04

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マイナンバーカードと保険証との一体化が本格的に稼働しだした。一体化のメリットとして、特定健診や処方情報を医療機関間で共有できる、という医学的なメリットに加えて、高額療養費の手続きの簡素化が挙げられる。いうまでもなく高額療養費とは、たとえば3割といった保険の一部負担金が一定額(一般被保険者は月5万7600円)を超えると差額が請求により還付される、という制度だが、経験のある方はおわかりの通り、その手続きはきわめて煩雑である。いったん高額の負担金を立替払いした上で、保険者に請求しなければならず、さらに高額療養費の振込はレセプト審査が確定した後になるので時には数カ月もかかることがある。

こうした立替払いを回避するには「限度額適用認定証」を保険証と合わせて医療機関に提示すればよい。しかしながら、この限度額適用認定証も事前に保険者への申請が必要であり、また遡及適用はされないので緊急入院の場合には使用できないことが多い。マイナンバーカードと保険証を一体化させれば限度額適用認定証の機能が同時に付与されるのでメリットは大きい。医療者はとかく医学的なメリットやプライバシーに目が向きやすいが、患者にとってはお金の手続きの簡素化のほうがはるかにメリットを感じるのではないか。

最後に一体化しても未解決のまま残る問題として複数医療機関の扱いを指摘しておきたい。限度額適用認定証を提示しても、たとえば5万7600円という限度額は、医療機関ごとに適用され通算はされない。限度額適用認定証を提示しても、同一月に複数の医療機関を受診して合計が5万7600円を超過したら、高額療養費を受けるには保険者への請求手続きが必要になる(70歳未満では合算されるのは2万1000円以上の負担のみというさらにやっかいなルールもある)。マイナンバーカードを提示すれば複数の医療機関の負担額がオンラインで合算されて窓口負担が免除される、まで進化しなければ、保険証との一体化のメリットはフルに生かされないのではないだろうか。

岡本悦司(福知山公立大学地域経営学部医療福祉経営学科教授)[マイナンバーカード保険証化][限度額適用認定証]

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