株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「『ザイタク医療』⑩〜ザイタクをSNS発信で〜」田中章太郎

No.5091 (2021年11月20日発行) P.63

田中章太郎 (たなかホームケアクリニック院長)

登録日: 2021-11-05

最終更新日: 2021-11-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新型コロナウイルス感染症の影響により様々な場面で分断が進み、患者の尊厳が蔑ろにされている場面を目にすると、胸が痛む。この感染症治療において最も重要なことが早期診断早期治療であるが、暮らしの中の医療である在宅医療がもっと浸透していれば早期診断・早期治療が可能となり、患者の尊厳を保てたのではないかと思うと残念でならない。第6波を気にしつつも急速に収束してきている今こそ、在宅医療を暮らしの中に浸透しておきたい。そのためには、在宅医療現場からの更なる発信が大切だ。今月は、私達が取り組む『ザイタク医療』のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)発信について少し紹介したい。

このコロナ禍において、リアル講演会や市民公開講座等が開催できなくなった。質疑応答・懇親会等での参加者との交流は、在宅医療浸透において非常に重要であったが今はできない。交流は必至であり、世間の他文化(エンターテイメント等)の再興への挑戦を参考に考えた結果、SNSを用いることにした。エンドユーザーと直接対話ができ、参加しやすいプラットフォームを複数利用した。街づくりで大切な住民との健康教育も視野に入れたSNS上での交流(本連載⑦、No.5078に詳細)にも取り組んだ。

当クリニックブログ『ザイタクよもやま話』毎日更新、ザイタクサロン(当クリニック遺族会)メンバー提案で始めたインスタグラム(兵庫県三田市の風景や患者さんとの想い出の写真を投稿)上で、ザイタク医療に関係するゲストをまねき対談(『たなか会のインスタライブ配信』毎週月曜日配信)を行い、コメント等でエンドユーザーとの直接交流も可能で、好評だ。YOUTUBEでは、在宅医療現場での日々の出来事を伝える『日刊玉手箱』(facebook同時配信)平日毎日ライブ配信、訪問診療移動中車内の会話を伝える『ほぼ日人生会議』土日録画配信、に取り組む。チャット機能を利用しエンドユーザーとの交流が可能で、こちらも好評だ。

現在わが国では、緊急事態宣言下で停滞した社会活動の再興を模索している。ステイホームや在宅ワーク、マスク生活、ソーシャルディスタンスと言った新しい生活様式の変容は、患者の生活様式にも大きな影響を及ぼした。社会活動の再興は、もちろん重要であるが患者の新しい生活様式にあわせた在宅医療の構築・浸透も急がれる。『ザイタク医療』のSNS発信は重要と考えている。

田中章太郎(たなかホームケアクリニック院長)[在宅医療]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top