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【識者の眼】「医療DXは日常診療へのデータの活用推進を中心に」松村真司

No.5101 (2022年01月29日発行) P.56

松村真司 (松村医院院長)

登録日: 2022-01-18

最終更新日: 2022-01-18

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政府の規制改革推進会議は、2021年12月22日に「当面の規制改革の実施事項」を公表した。(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/opinion/211222.pdf)この中で、医療・介護・感染症対策を重点分野のひとつと位置づけ、デジタルトランスフォーメーション(DX)のさらなる推進を求めている。とはいえ、中心になっているのはオンライン診療・服薬指導のさらなる促進、電子処方箋などにとどまり、レセプト・データの利活用については概要に記載されているものの具体的な言及はされていない。

日本医師会はあくまで対面診療が原則でありオンライン診療は例外的・補完的なものであるという慎重な姿勢を打ち出している(https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010391.html)。DXそのものは時代の要請もあり、さらに推進していかなければならないと考えるが、オンライン診療の拡大および電子処方箋には利便性向上と安全性確保の2つの側面があり、課題を整理し議論を尽くすプロセスは不可欠である。

しかしデジタルファースト、デジタル田園都市国家の旗印のもと、デジタル基盤整備の推進をうたい、医療・介護におけるDXに関わる項目を中心に盛り込んだと主張しているにもかかわらず、レセプト・データの利活用について具体的な言及がなされなかったのは寂しい限りである。

現場が求めているDXは、日々診療現場やその周辺で生まれる様々な情報を蓄積し、これらについてAI等による解析を加えた上でリアルタイムに医療者にフィードバックし日常診療へと活用することではないだろうか。

新型コロナウイルス感染症拡大の際に、FAXでのやり取りが前時代的だと批判されたのは記憶に新しい。日々膨大な情報を電子カルテに入力しているにもかかわらず、これらの情報を電子化した上で施設を越えて蓄積し、情報を分析の上、現場の医療職に提示するという視点は希薄である。もちろん、これらについてもセキュリティー確保も含め克服すべき課題は多い。現場が求める医療DXの主体はこのような部分にあり、ユーザーである医療職の視点を十分に反映させた進化が必要であると考える。

松村真司(松村医院院長)[デジタルトランスフォーメーション][レセプトデータ]

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