No.5105 (2022年02月26日発行) P.62
栗谷義樹 (山形県酒田市病院機構理事長)
登録日: 2022-02-03
最終更新日: 2022-02-03
戦後50%を超えた全国の労働組合の組織率は、現在2割を割り込むまで低下しているというが、当病院機構は臨時を含む職員1410人のうち、組織率54.6%とかなり高率である。
山形県酒田市病院機構は平成20年の県立、市立の2病院統合再編で発足したが、労働組合については、旧県立病院労組は自治労系、旧市立病院労組は医労連系として、統合後も別々に活動してきた。それぞれに上部組織があり、労使交渉も個別に行われていたが、この2つの労組が昨年6月、統合して日本海職員労働組合として一本化することになった。
嬉しかったのは統一労組が作成した新労組、労使共同宣言に、
1. 北庄内における地域医療、介護の確保と底支えを労使共通の目的とする
2.機構が推進する地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の取り組みを、労働組合は理解し、協力する……
と明記されていることである。
2つの労組が日本海ヘルスケアネットの取り組みを労使共通の目標ととらえ、これを共有することで労組の一本化まで進めたことは、これまでと今後の事業展開に、大きな確信を持たせてくれることになった。
当独法では前年度の総収支が黒字で当年度も黒字が見込まれる場合、年度末の業績手当支給を給与規定で定めている。2009年から順調な業績を出すことができたので、14年を除いて18年まで毎年支給してきたが、正職員の他に、臨時職員にも定額で支給している。昨年度はコロナ包括支援金もあり、過去最高の営業利益となったが、感染蔓延の影響で業務量自体は減少し、実質営業利益は低下した。
2021年度も改善はみられるものの基本構造は変わっていない。それでも支給内規をクリアする決算は予想されており、包括支援金の使途についても、「一部を職員の処遇改善に充当する」と明記されていること、2020、21年度の2年間で賞与が0.2カ月分下げられていることを考慮し、今年度末には過年度と合わせ、2年分支給することを決定した。この2年間、職員が新型コロナ蔓延に賢明な対応をしてきたことに少しでも報い、併せて統一労組の船出のささやかなお祝いになればと思っているところである。
栗谷義樹(山形県酒田市病院機構理事長)[処遇改善]