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【識者の眼】「17〜25歳のHPVワクチン無料接種の注意点」柴田綾子

No.5123 (2022年07月02日発行) P.55

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科医長)

登録日: 2022-06-09

最終更新日: 2022-06-16

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2022年4月から12〜16歳の女性に加えて17〜25歳(誕生日が1997年4月2日〜2006年4月1日)の女性もHPVワクチンが無料で接種できるようになりました(キャッチアップ接種)1)。このキャッチアップ接種は2022年から3年間の措置であり、HPVワクチン接種対象者/希望者には、無料で接種できるチャンスをぜひ情報提供したいところです。ここでは、キャッチアップ接種の注意点について解説します。

1. 接種の手続き

HPVワクチンの定期接種とキャッチアップは住民票のある自治体で管理しています。まずは被接種者の自治体のホームページでキャッチアップ接種のページを確認し、どの医療機関で接種できるか確認します。HPVワクチン接種では、事前に医療機関へ電話して予約するのが確実です。

2. 接種タイミング

ワクチン接種後の数日間は接種部位の発赤や痛みが出る可能性があるため、スケジュールに余裕がある時期がおめです。特に夏休みなど長期休暇中はおめです。新型コロナウイルスのワクチン接種からは前後2週間あけてください。

3. 接種間隔

添付文書に記載されている接種間隔を守ることが推奨されています2)

・2価(サーバリックス®):1回目→1カ月後に2回目→1回目から6カ月後に3回目

・4価(ガーダシル®):1回目→2カ月後に2回目→1回目から6カ月後に3回目

接種期間を短縮した場合、接種費用が自費になってしまうことがあるため注意してください。

4. 9価HPVワクチンについて

現時点では、9価HPVワクチンが定期接種やキャッチアップの無料接種の対象になる見通しは出てきていません。自費の場合は1回約3.5万円のため合計10万円近くかかります。自治体によっては、9価HPVワクチンを接種する場合に費用助成を行っているところもありますが一部です。4価のワクチンでも子宮頸がん、外陰がん、腟がんを予防する効果は非常に高く、その効果は14年近く持続することが北欧から報告されています3)。まずは無料で接種できる2価や4価を接種することをお勧めします。日本婦人科腫瘍学会では「(自費にはなるが)2価、4価HPVワクチン接種を受けた後に、9価HPVワクチンを追加で接種することができる」と解説しています4)

【文献】

1)厚生労働省:キャッチアップ接種のご案内.

   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html

2)日本産科婦人科学会:HPVワクチンの定期接種, キャッチアップ接種の接種間隔短縮に対する対応.

   https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20220519_shuuchiirai.pdf

3)Kjaer SK,et al:EClinicalMedicine. 2020;23:100401.

4)日本婦人科腫瘍学会:HPVワクチンQ&A(2021/12/24改訂).

   https://jsgo.or.jp/entry_general/news/20211224/1113/

柴田綾子(淀川キリスト教病院産婦人科医長)[キャッチアップ接種]

【関連動画】
最新エビデンス一点解説「HPVワクチンの最新エビデンス」(柴田綾子)

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