株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「PostコロナWithコロナの学会開催形式」野村幸世

No.5126 (2022年07月23日発行) P.58

野村幸世 (東京大学大学院医学系研究科消化管外科学分野准教授)

登録日: 2022-06-29

最終更新日: 2022-06-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ここのところ、少し、コロナによる規制が緩和されつつあります。当院でも、今までは家族以外との会食は一切禁止されておりましたが、人数が4人以下、時間は2時間以内、そして、会食と会食の期間は1週間あける、などの条件のもと、家族以外との会食が可能となりました。それに加え、学会などに関連した公的な食事会も可能となりました。喜ばしいことであると同時に、構成員の良識が問われるところだと思います。

さて、上記にありますように、学会には懇親会など飲食を伴う催しが開催されることが多いです。昨今のコロナが落ち着きつつある中、Webでもハイブリッドでもない、現地参加のみを謳う学術集会も登場してきました。久しぶりに現地に出かけてみましたが、日常からの脱却という意味では息抜きにもなったものの、往復の時間が惜しいとも思いました。コロナが流行する以前、子育て中の医師が学術集会に出席することが難しいことをいかに解決するか、託児室の工夫などいろいろと考えたものです。これが、コロナの流行により、Webやハイブリッド開催となり、子育て中の医師も学術集会に参加しやすくなりました。学会によっては、Webやハイブリッドにしたことにより、参加人数がぐっと増えた学会もあります。コロナが収まっても、各学会がハイブリッドを続けてくれることを訴えていましたが、やはり、コロナが収まったら現地参加のみの学術集会が出てきています。

学術集会を開催する側としては、現地参加にしたい理由も理解可能です。まず一つ目の理由は、ハイブリッドにすると、かなり費用が嵩むことです。主催者としてはその分の費用を捻出するのは大変です。もう一つの理由は、現地の「賑わい」でしょう。やはり、自分が主催する会が賑わっていれば、気持ちもいいものです。

これからの開催形式を考える根拠としては、何を重要視するかだと思います。現地に赴けない事情のある会員にも参加できる学会にするのか、それとも、現地に赴いた会員と主催者側の満足度を上げるのか、です。どちらも大事なので、難しいところとは思いますが、今、世界のめざしているSDGsの考え方からすれば前者でしょう。だとすれば、参加費を多少高くしても、皆が参加できる学術集会をめざすのがいいと思います。費用に関しては、ハイブリッドで開催しても、費用が高くならない開催方法を打ち出すベンチャー的な学会支援企業が出てくれるといいと思っています。

野村幸世(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学分野准教授)[学会参加][SDGs]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top