厚生労働省は9月21日、「医師偏在指標」の見直しに関する論点を「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」に示した。病院・診療所別の医師偏在指標を都道府県に参考指標として提示することや、複数医療機関に勤務する医師について、主たる従事先と従たる従事先で按分して医師数に算入することなどを提案。反対意見は出なかった。
都道府県は、「医師確保計画」の策定にあたって、都道府県および二次医療圏単位で医師偏在指標を算出。全国の指標と比較して上位33.3%に該当する場合を「医師多数区域」、下位33.3%に該当する場合を「医師少数区域」に指定する(名称は二次医療圏の場合)。この結果をふまえて医師確保の方針を定める際、医師多数区域については二次医療圏外からの医師確保は行わないルールとなっている。
この日は、①勤務施設別の医師偏在指標、②複数の医療機関に勤務する医師の取り扱い、③診療科別医師偏在指標―などについて、厚労省が論点を示した。
①では病院医師のみ、診療所医師のみの医師偏在指標を算出し、結果を現行の医師全体の偏在指標と比較したところ、医師多数区域が少数区域に変わるなどの区分を跨ぐ変動が病院医師では61区域、診療所医師では134区域あった。ただ、基礎データの「医師・歯科医師・薬剤師統計(三師統計)」は、病院と有床診療所の医師を入院対応と外来対応にわけることができず、外来の医療需要は一定の仮定の下で推計するより方法がない。
このため厚労省は、都道府県単位の医師偏在状況を見るときには従来通り全体の医師偏在指標を用い、病院・診療所別の偏在指標は、二次医療圏の医師確保策を検討する際の参考資料とする案を提示した。
②は大学病院等に勤務する医師が二次医療圏を越えて派遣されるケースを想定。これら医師の主たる従事先の勤務日数は全体のおよそ8割であることから、三師統計で従たる従事先を記載している医師については主たる従事先を0.8人、従たる従事先を0.2人とカウントして医師偏在指標を算出することを提案した。
また、③の診療科別医師偏在指標は継続検討課題とし、次期計画では三師統計で把握できる診療科別医師数を施策の検討に活用するよう、都道府県に促す考えを示した。