中央社会保険医療協議会総会は6月25日、医療提供体制の将来見通しなどを踏まえた次期2026年度診療報酬改定の方向性を巡り議論した。この中で診療側は診療報酬のあり方について、現行の全国一律の評価を前提としつつも、医療機関が地域の医療需要に合わせてどのような機能を選択した場合であっても経営が成り立つような柔軟な仕組みづくりが必要との認識を示した。
厚生労働省は同日、(1)患者の高齢化への対応/医療・介護の複合ニーズを持つ高齢者の増加が見込まれる中、「治し、支える医療」を実現する、(2)生産年齢人口の減少/看護師等の減少が見込まれる中、医療DX、タスクシフト・シェア等の推進により、生産性の向上を図り、地域の医療提供体制を維持・確保する、(3)急性期機能の維持・確保/手術等が減少し、急性期病床の稼働率低下等による医療機関経営への影響が見込まれる中、急性期医療や救急医療を提供する体制を構築する、(4)特に医療資源が少ない地方部の課題/過疎地域等において拠点となる医療機関からの医師の派遣や巡回診療、ICTの活用等の様々な方策により、地域で不可欠な医療機能を確保する―という4つの観点から、診療報酬改定の方向性について検討することを総会に求めた。
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「地域医療構想もそれに寄り添う診療報酬も、地域の実情に応じ、医療機関の安定的な経営に基づいた医療提供体制をしっかり支えることが大切」と強調。診療報酬のあり方については、「全国一律の評価体系を前提とした上で、それぞれの地域がそれぞれの実情に応じてどのような医療提供体制を描いたとしてもその一端を担う医療機関の経営が病院、診療所を問わず十分に成り立つような診療報酬を構築することが非常に重要だ」との考えを示した。
これに対して支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「医療資源の配置を最適な形に組み替えていくことや、それぞれの医療機関が地域のニーズを過不足なく充足できるように機能を強化していくことが不可欠」と主張。具体策として、急性期入院医療の拠点となる医療機関への集約化や、かかりつけ医機能を担う診療所の集約化・大規模化の推進などを求めた。