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【識者の眼】「ストレス一日決算主義のすすめ」山本晴義

No.5144 (2022年11月26日発行) P.61

山本晴義 (労働者健康安全機構横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)

登録日: 2022-09-30

最終更新日: 2022-09-29

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年齢を重ねるごとに規則正しい生活を送ることが健康にとって大切だと実感することが多い。「睡眠・食事・運動・仕事・休養」の生活の5要素をバランスよく1日の中に取り入れることが、日々を気持ちよく過ごせるコツであり、私はこれを「ストレス一日決算主義のライフスタイル」と呼んでいる。

職業柄、うつ病の人に会うことが多いが、うつ病の予防法を一言でいうならば、やはり規則正しい生活に尽きる。生活が不規則になると、自律神経は乱れる。人間は、昼は交感神経が優位になるので活発に動くことができ、夜は副交感神経が優位になることでリラックスして眠れる。しかし、この自律神経の切り替えが悪くなると様々な体や気持ちの不調が表れる。自律神経は自分では意識できない働きであるためコントロールがしにくい。だからこそ、規則正しい生活の心がけが必要であり、それにより自律神経の働きが整いやすくなる。

最近、何となく不調が続くという場合は、まず、意識的に寝起きの時間を一定にするとよい。昼間ついうとうと昼寝をしてしまい、夜なかなか眠れない場合は、15時前までに30分間の昼寝にとどめることが大切である。しっかりと自分の生活を自分でコントロールできているという実感があると自信にもつながる。 

さて、規則正しい生活を送ることは大事であるが、ずっと同じ生活パターンばかりだと、脳もマンネリ化を起こしてしまう。規則正しい生活を続けながら、時折それまでとは異なったパターンの行動を取り入れることが大事である。異なった行動パターンというと、趣味を新しく始めることなどを思い浮かべるかもしれないが、そこまで大きくとらえなくてもよい。散歩を日課にしているならば、同じルートではなく違うコースを取り入れる、スーパーに行ったら、普段は使わない食材を手にとってみる、お気に入りのカフェ以外の店を開拓する、あるいは、新聞を1面から読んでいるならば3面から読むなど、ちょっとしたことでよい。これまでの習慣と違ったものを少しでも取り入れることで、脳は確実に活性化していく。維持と変化のバランスもまた大切である。

山本晴義(労働者健康安全機構横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)[規則正しい生活]

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