厚生労働省の「医療介護総合確保促進会議」は2月16日、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)の見直し案を大筋でまとめた。高齢者人口の増加と生産年齢人口の急減が進む2040年頃までを見据えた、医療・介護提供体制の構築について、基本的方向性を示した。これを受けて同省は、年度内の総合確保方針改定を目指す。
総合確保方針は、「医療計画」と「介護保険事業(支援)計画」の整合性を図るための方策などを定めたもので、両計画の上位概念に位置づけられる。
見直し案は、医療・介護提供体制の整備にあたっての目標年をこれまでの25年から40年頃までに変更。25年から40年頃にかけては、85歳以上を中心とする高齢者人口の増加、生産年齢人口の急減、入院患者数と在宅患者数の増加―などが見込まれている。
ただ、こうした人口構成や医療・介護需要の変化のスピードには地域差があることから、見直し案は、地域の実情に応じた医療・介護提供体制を確保していく重要性を強調。今後の施策の柱に、(1)「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築、(2)サービス提供人材の確保と働き方改革、(3)限りある資源の効率的かつ効果的な活用、(4)デジタル化・データヘルスの推進、(5)地域共生社会の実現―の5項目を掲げ、それぞれ基本的方向性を示した。
(1)では、医療提供体制について、入院は25年に向けて地域医療構想を推進。外来と在宅は、紹介受診重点医療機関の明確化とかかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うことを明記した。介護は、地域包括ケアシステムの更なる深化・推進を図るため、介護サービスの提供体制の整備、住まいと生活の一体的な支援、医療と介護の連携強化、認知症施策の推進、総合事業、介護予防―などに取り組む。(4)では、医療・介護分野のDXを進め、デジタル基盤を活用して医療機関・薬局・介護事業所等の間で必要な時に必要な情報を共有・活用することを可能にするなど、医療・介護連携がより行いやすい環境を整える。
このほか、別添として実現が期待される医療・介護提供体制の姿を国民目線から描いた「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」も作成した。改革に携わる関係者の意識共有などに活用する考え。