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■NEWS 日医会長選、現職の松本氏が圧勝―直前に松原候補へ取り下げ求める声も

No.5227 (2024年06月29日発行) P.71

登録日: 2024-06-24

最終更新日: 2024-06-24

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任期満了に伴う日本医師会の役員選挙が6月22日の定例代議員会で行われ、会長選挙の結果、現職の松本吉郎氏(埼玉)が再選を果たした。投票総数378票のうち松本氏は334票を獲得。対抗馬の元日医副会長の松原謙二氏(大阪)は38票、無効票4票、白票2票だった。

このほかの役員については定数通りの立候補だったため、選挙を行わずそのまま選任、選定された。新役員の任期は2025年度に関する定例代議員会終結の時まで。

役員選挙に先立って行われた代議員会の正副議長選挙も、定数通りの立候補で、それぞれ柵木充明氏(愛知)、佐藤和宏氏(宮城)が選定された。

松本執行部のこの2年間の取り組みが問われた今回の選挙。かかりつけ医機能報告制度で一定の道筋をつけたことや、2024年度診療報酬改定で本体プラス改定を実現させたことなどが評価され、全ブロックから推薦を得て松本氏の再選は確実視されていた。

22日の代議員会では、投票直前に代議員の中から「今般の財務省、厚生労働省の振る舞いをみると、日医が2つに割れて選挙をしている場合ではない。もう勝敗は決しているので、松原氏は立候補を取り下げていただきたい。それがかなわない場合には、10分でも両者の意見陳述を聞いてみたい。松原候補の声を聞くのもこれが最後かもしれないので」(村上博氏・愛媛)との緊急動議が出される一幕もあった。

松原氏に立候補を取り下げる意向はないことが事務局により確認され、また立候補者の意見陳述に対する会内の規定が存在しないことから緊急動議は議長の判断で取り下げられ、そのまま投票が実施。その結果、松本氏が圧倒的な得票での再選となった。

■松本会長「これまでの政策をさらに一段進める」と抱負

22日の代議員会終了後、正副会長は日医会館内で記者会見に臨み、今後2年間の会務について抱負を述べた。

松本会長は冒頭、「2期目に選定していただき、身の引き締まる思いだ。これまで①地域から中央へ、②さらに信頼される医師会へ、③医師の期待に応える医師会へ、④一致団結する強い医師会へ―をテーマに掲げ、例えば社会保障、医療費、医師の少数地域、かかりつけ医機能、医師の働き方改革、医療DX、災害対策、新興感染症対策、組織強化に向けて力を注いできた。それをさらに一段進める医療政策を打ち出して、強力に進めていきたい」と強調した。

松原候補が38票獲得したことへの感想を問われると、「いずれの世界でも満票対ゼロはあり得ない。約1割の票は私たち執行部に対して『もうちょっとがんばれ、政策を打ち出して強くあれ』という叱咤激励であるととらえている」と述べ、余裕をみせた。

3副会長からは、松本会長を支えることの表明とともに、今後2年間はこれまで以上に厳しい環境になるとの見方も示された。茂松茂人氏は「この2年間はさらに厳しくなると考えている。我々が国民の医療を守り、適切な医療ができるという方向でしっかりがんばっていきたい」、角田徹氏も「これから2年、さらなる困難が予想される。まさに一枚岩となって国民医療を守る」とコメント。

また、常任理事から副会長に昇格した釜萢敏氏は、来年の参議院選挙で組織内候補として立候補する予定であることから、「新しく常任理事になられた方に10年の経験をしっかりお伝えするとともに、来年の7月の参議院選挙に向け、全国を回り、しっかりとご理解をいただき、得票を重ねる仕事にも全力で取り組んでいきたい」と述べた。

翌23日の臨時代議員会ではブロック代表質問などが行われ、かかりつけ医機能報告制度への対応や医師会の組織強化策などで執行部の見解が質された。

■日本医師会新執行部(敬称略、※は新)

会長=松本吉郎(埼玉)
副会長=角田 徹(東京)、茂松茂人(大阪)、※釜萢 敏(群馬)
常任理事=細川秀一(愛知)、今村英仁(鹿児島)、※松岡かおり(千葉)、江澤和彦(岡山)、濵口欣也(福岡)、黒瀨 巌(東京)、長島公之(栃木)、宮川政昭(神奈川)、笹本洋一(北海道)、渡辺弘司(広島)、城守国斗(京都)、※藤原慶正(秋田)、坂本泰三(兵庫)、佐原博之(石川)

選挙後の記者会見で握手する松本会長(右から2人目)と3副会長

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