株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 機能報告対象、病床機能に加え医療機関機能を追加へ―新地域医療構想で

No.5241 (2024年10月05日発行) P.70

登録日: 2024-09-13

最終更新日: 2024-09-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は96日、各論の議論に入った。入院医療がテーマのこの日は、地域における医療機関の役割分担や連携などに関する協議がより進めやすくなるよう、医療機関の機能報告について現行の病床機能に加え、新たに医療機関機能の報告を求める方針が確認された。

新たな地域医療構想の目標となる必要病床数の推計は従来の手法を踏襲。病床機能区分は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4区分を維持し、診療実績データをもとに推計する。

急性期を中心に医療機関機能のあり方も議論した。中でも高齢者救急と一般の急性期医療を別の医療機関機能として区別することが論点の1つとなった。高齢者の急性期医療には、①手術を伴うものが少なく、比較的多くの医療機関で対応可能、②入院期間中の安静臥床がADL低下につながる可能性がある―などの特徴があり、高齢者救急の受け皿となる医療機関には急性期の機能だけでなく、早期からのリハビリテーションの実施や早期退院に向けた退院調整といった回復期の機能を併せ持つことが求められる。

これに対して一般の急性期入院医療の需要は今後減少が見込まれ、すでに急性期病院の病床利用率は低下傾向にある。緊急手術の体制を備えた病院がありながら休日・夜間の緊急手術が毎日は発生しない医療圏も多数存在し、一般急性期については医療の質確保や医療従事者の働き方改革推進の観点からも、一定の症例数を集約して地域で拠点となる医療機関を整備することが重要課題となっている。

■地域と広域、それぞれで求められる機能を軸に医療機関機能を設定

こうした現状を踏まえ厚労省は医療機関機能を、①地域ごとに求められる医療提供機能、②より広域な観点から医療提供体制を維持するために求められる機能―の2つの視点で整理することを検討会に提案し、おおむね了承された。前者の具体例には、「高齢者救急の受け皿となり、地域への復帰を目指す機能」、「在宅医療を提供し、地域の生活を支える機能」、「救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能」が、後者の具体例には、「医師の派遣機能」、「医育機能」、「より広域な観点で診療を担う機能」(三次救急や高度な手術等を想定)が挙がっている。なお検討会は次回以降も各論の議論を続け、年内に取りまとめを行う予定。

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top