厚生労働省の『「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会』は4月7日、高齢者施策に関する中間取りまとめ案を大筋で了承した。人口動向やサービス需要動向の違いに着目して全国を3つの地域に分け、それぞれの特性に応じたサービス提供体制を構築していく方向性を打ち出した。今後、社会保障審議会・介護保険部会で中間とりまとめの内容を踏まえた次期介護保険制度改定の議論が進められる予定。
40年に向け、全国的には医療・介護ニーズを抱える高齢者が増加し、それを支える生産年齢人口は減少するが、地域レベルでみると、その傾向や進行スピードには大きな差がある。このため中間とりまとめでは、人口減少やサービス需要の変化に応じて全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」の主に3つの地域に分類し、地域の実情に応じた効率・効果的なサービス提供体制を確保することを提案した。
このうち「中山間・人口減少地域」では、サービス提供を維持・確保するための柔軟な対応が必要だと指摘。具体策として、(1)配置基準等の弾力化、(2)訪問・通所などサービス間の連携・柔軟化、(3)地域の介護を支える法人等への支援、(4)社会福祉連携推進法人の活用促進―などについての検討を促した。
「大都市部」は今後も高齢者人口の増加に伴うサービス需要の拡大が見込まれることから、公・民の多様なサービスに加え、ICTやAIなど民間技術も活用したサービス基盤の整備が必要不可欠であることを強調。重度の要介護者や独居高齢者への対応として、ICT技術等を用いた24時間対応の効率的かつ包括的なサービスの検討などを提案した。
高齢者人口が増減し、サービス需要が増加から減少に転じる「一般市等」については、既存の介護資源等を有効活用しながら需給の変化に応じてサービスを過不足なく確保することを課題に位置付けた。
このほか、介護人材の確保や生産性向上、地域包括ケアシステムにおける医療介護連携などについても提言を行った。検討会は今後、障害福祉をはじめとする他の福祉分野との共通課題や社会福祉法人の経営支援などについての議論に入り、夏をメドにこれらテーマのとりまとめを行う。