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認知症疾患治療ガイドラインの有用性 【認知症のステージにあわせて薬剤を選択】

No.4802 (2016年05月07日発行) P.55

遠藤英俊 (国立長寿医療研究センター内科総合診療部部長)

登録日: 2016-05-07

最終更新日: 2016-10-26

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アルツハイマー型認知症の治療薬は4種類存在し,ステージにあわせて薬剤を適切に選択する時代となった。薬剤は重症度やBPSD,患者背景にあわせて選択する必要がある。標準的な診療指針として,認知症関連学会から『認知症疾患治療ガイドライン2010 コンパクト版2012』(文献1)が公表されている。ドネペジルやガランタミン,リバスチグミン,メマンチンは認知症の進行遅延のほか,ADLに関わる介護時間の短縮,介護の見守り時間の短縮,施設入所時期の遅延による医療費・介護費用の削減などの効果が報告されている。さらに,認知症に対する良質なケアや環境,脳リハビリテーションが加われば,治療効果も向上する。医師は認知機能だけでなく,本人の生活機能や,気持ちや尊厳,家族の介護負担にも配慮して治療にあたる必要がある。
認知症の標準的な医療を行うには,ガイドラインに従って診断・治療を行うことが望ましい。薬剤の種類としてはコリンエステラーゼ阻害薬が3種類とNMDA受容体拮抗薬が1種類である。日本において,ドネペジルは,軽度,中等度,高度認知症で投与することが承認されている。実際には,予防から終末期医療まで含めて対応する必要がある。このことは,かかりつけ医が1人の患者を長く,終末期まで連続してフォローする意味からも,シームレスケアとも呼ばれている(グレードA)。

【文献】


1) 「認知症疾患治療ガイドライン」作成合同委員会, 編:認知症疾患治療ガイドライン2010 コンパクト版2012. 日本神経学会, 監. 医学書院, 2012.

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