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■NEWS BPSD向精神薬使用ガイドラインが9年ぶりに改訂─治療アルゴリズムを大幅見直し

登録日: 2025-06-24

最終更新日: 2025-06-24

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認知症診療の現場で広く活用されている「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」の第3版が公表されたことを受け、改訂の背景とポイントを解説するメディア向けセミナー(大塚製薬主催)が6月23日、オンラインで開催された。

同ガイドラインは、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の対応で中心的な役割を担うことが期待されているかかりつけ医・認知症サポート医向けに策定されたもの。2016年の第2版公表から9年ぶりとなる改訂が厚生労働科学特別研究事業で行われ、6月に公表された。

改訂に携わった筑波大・新井教授

23日のセミナーでは、主任研究者として改訂に携わった筑波大精神医学教授の新井哲明氏が講演。

専門医・非専門医を問わずかかりつけ医の多くがBPSD治療目的で抗精神病薬を処方した経験がある現状を踏まえ、今回の改訂は治療薬に関する情報のアップデートとそれに基づくアルゴリズムの見直しが中心になったとし、新しい「BPSD治療アルゴリズム」()に沿って改訂のポイントを解説した。

■抗精神病薬や睡眠薬の情報をアップデート

アルゴリズムの大きな変更点は、BPSDのカテゴリーを従来の「幻覚、妄想、焦燥、攻撃性」「抑うつ症状、アパシー(無為)」「不安、緊張、易刺激性」「睡眠障害」「過食、異食、徘徊、介護への抵抗」から「幻覚・妄想」「易刺激性・焦燥性興奮」「不安・抑うつ」「アパシー」「睡眠障害」に見直したこと。

「易刺激性・焦燥性興奮」の場合は、コリンエステラーゼ阻害薬の副作用であることを否定した上で「メマンチン、抑肝散、抗精神病薬の使用を検討する」とし、アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する過活動・攻撃的言動(アジテーション)に対しては抗精神病薬ブレクスピプラゾール(製品名:レキサルティ)が保険適用を有していることを記載した。

「睡眠障害」に対しては、睡眠衛生指導や睡眠覚醒リズムの確立のための環境調整を行った上で、オレキシン受容体拮抗薬のレンボレキサント(製品名:デエビゴ)、スボレキサント(製品名:ベルソムラ)、メラトニン受容体作動薬のラメルテオン(製品名:ロゼレム)、抗うつ薬のトラゾドン(製品名:デジレル、レスリン)の使用を検討するとしている。

新井氏は、治療アルゴリズムなどの情報が広くかかりつけ医・認知症サポート医に普及することで、より適切なBPSD治療が実現することに期待感を示した。

ガイドライン第3版は、日本認知症学会や日本老年医学会の公式サイトで公開されている。

【関連情報】
かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)の公開(日本認知症学会)

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