編著: | 原田 拓(昭和大学江東豊洲病院総合診療科 助教) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 338頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2022年03月21日 |
ISBN: | 978-4-7849-5952-5 |
版数: | 第1 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
高齢者診療において,スッキリしない,モヤモヤする,正解も,整理の方法もわからない……といったジレンマに陥る医療者は少なくないと思います。
誤嚥性肺炎で入院するたびに絶飲食,せん妄となり,不穏に抗精神病薬が追加されていくケース,股関節骨折の既往はあるが骨粗鬆症の治療はされず,再び股関節骨折をきたすケース,患者もかかりつけ医も処方の経緯の詳細がわからず,多大な内服リストがあるケース,自宅で大量の残薬がみつかるケース,多疾患併存で,エビデンス通りだととんでもない量の薬になるケース,ポリファーマシーによる有害事象が出ていても患者が内服継続を強く望むケース,予後も限られているのに,この薬は必要なのかと悩むケース……。
このように複雑性に富む高齢者診療に,magic bulletはありません。目の前の診療にどれくらい真摯に取り組んできたか,その積み重ねに尽きるのです。そもそも何をゴールとするのか,患者や家族の希望や価値観,医療のリソースによっても方向性は変わってきます。しかしそれでも,うまく診られるようになるための視点や考え方,エッセンスというものがあります。
本書は,こうした高齢者診療のジレンマについて,「診療のエッセンス」「頻用薬のミニマム処方・適正化」「頻度の高い病態と薬の減薬・見直し」「ポリファーマシー」の4つのテーマにわけて解説しています。高齢者診療における頻用薬をリストアップし,エビデンスに基づくミニマム処方の判断基準から,薬をやめる,減らすときのコミュニケーションとサポートのあり方まで,実地診療に即した内容となっています。
最後に,本書は,日本医事新報社の荒井美幸氏の企画から刊行に至るサポートなしには生まれませんでした。さらに,本書の趣旨にご賛同頂き,多忙な時間を縫い素晴らしい原稿に仕上げてくださった先生方,日々の診療を支えてくれている職場の同僚,そして,陰ながら支えてくれている家族へ,この場を借りて深く御礼を申し上げます。
本書が臨床現場において,高齢者診療の一助になれば幸いです。