日本医師会の石川広己常任理事(写真)は7月27日、熊本地震の被災地に派遣した日医災害医療チーム(JMAT)について、7月16日をもって医療支援活動をすべて終了し、次の大規模災害に向けた検討を行っていくことを明らかにした。石川常任理事は、「国の防災行政におけるJMATの位置づけを高めていきたい」との考えを示している。
石川常任理事は今回のJMAT活動について、「東日本大震災での経験を踏まえたことで、比較的スムーズに活動できた」と総括。特に評価できる点として、(1)東日本大震災時に比べてJMATの名前が浸透していた、(2)災害前から九州医師会連合会で相互支援協定を締結していた、(3)熊本県医師会でも災害前からJMATを編成していた、(4)兵庫県医師会、沖縄県医師会など現地のコーディネーター役を担う医師会が存在した─などを挙げた。一方で、「支援は被災した都道府県からの要請で行うのが基本だが、血気が盛んなあまり、問い合わせることなく現地に入る医師がいた。都道府県医師会から登録した上で、手順を踏んで活動してほしい」と呼びかけ、次への課題としている。
日医は9月末に都道府県医師会災害医療担当理事連絡協議会を開催するほか、会内の委員会や、衛星を利用したJAXA(宇宙航空研究開発機構)との防災訓練等を通じて、JMAT活動の報告・検証を行う予定。