2002年、第56回毎日出版文化賞(人文・社会部門)受賞作品(ドナルド・キーン著、角地幸男訳、新潮文庫・全4巻、2007年刊)
ドナルド・キーン氏は、1922年ニューヨーク生まれで、今年95歳。コロンビア大学名誉教授で、日本文学の研究、海外への紹介などの功績によって2002年には文化功労者に選ばれ、2008年には文化勲章を受章されている。
キーン氏が、明治の日本がどのように文明開化を成し遂げたかを調べ、その中心になった明治天皇に注目しまとめたのが、本書である。キーン氏の文章は時々英文でも読んだことがあったが、歴史を冷静に分析し論理展開する視点に共鳴することが多かったので、本書を手にしてみた。本書は角地幸男氏の翻訳によるものであるが、最初の章を読んで、そのとりこになってしまった。江戸時代末期の政治情勢の中で孝明天皇や岩倉具視、徳川慶喜らのとった行動などを詳細に調べ、淡々と記述している。その中で明治維新が起こり、近代日本に向かう中で、明治天皇を中心とした多くの日本人の凄まじい努力を知ることができた。
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