画像診断の一つのプロセスとして画像の特徴を分析し,その特徴をもたらした病理組織学的な変化を推測することでいくつかの鑑別疾患を列挙の上,他の臨床所見と最も合致する診断を決定するという方法がある。
このような解析的アプローチに対し,特徴的なパターンをいくつか経験していれば一目で直感的に診断できる場合もあり,典型的症例においては素早い診断が可能であるというメリットを有する。特に比較的経験の浅い段階においては,数多くの症例を経験し,各疾患の特徴的なパターンを知ることが診断能力の向上につながる。言い換えれば「量が質を生む」段階である。一方で個人が実際に経験できる症例は限られており,他施設で記録された画像を見ることはその制約を補う良い手段である。
そこで,本企画では比較的典型的な画像を数多く供覧し,擬似的に症例を経験していただくことを目的とした。もちろん例外的症例もあり,すべてが直感的に診断できるものではないが,まずは基本的パターンを押さえておくことが重要であり,この企画が少しでも日常診療のお役に立てば幸いである。
2019年3月
川崎医科大学検査診断学教授 畠 二郎
畠 二郎〔川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)教授〕
1章 肝
高田珠子(三菱三原病院内科)
2章 胆道
今村祐志〔川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)講師〕
3章 膵
谷口真由美(川崎医科大学附属病院中央検査部)
4章 脾・腎
竹之内陽子(川崎医科大学附属病院中央検査部)
5章 消化管
眞部紀明〔川崎医科大学総合医療センター検査診断学(内視鏡・超音波)教授〕
6章 血管系その他
中藤流以〔川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)講師〕