□緊急を要する腰背部痛をみきわめることが重要である。
□原因のわからない腰背部痛や,鎮痛薬が効かない腰背部痛の中に重篤な疾患が隠れていることがあり,注意が必要である。
□初期診療のフロチャートを図に示した。
□外傷の有無,発症様式(突然発症か否か),発熱の有無,膀胱直腸障害の有無を確認する。
□初発症状か,繰り返す慢性的な疼痛かを聴取する。
□高血圧,糖尿病,担癌患者か否か,感染のリスク(糖尿病,ステロイド使用歴)の有無,骨粗鬆症の有無,喫煙歴の有無を聴取する。
□受傷機転のない疼痛や安静時にも持続する疼痛,さらに突然発症したエピソードがあれば,血管病変や消化管疾患,腎・泌尿器疾患などの内因性疾患を疑う。
□整形外科領域の疼痛であれば,安静時よりも体動時に痛みが増強しやすい。
□腰痛をきたす重篤な疾患を見逃さないために,腰痛診療ガイドライン2012にはred flag sign(警戒徴候)1)2)が示されている(表1)。
□A(気道airway),B(呼吸breathing),C(循環circulation)の異常がないかをみる。
□脳血流低下による意識障害がないかをみる。
□診察の際には必ず着衣を脱がせて全身を観察し,外傷の有無や皮膚の視診を行う。時には帯状疱疹が見つかる場合もある。
□圧痛は重要な所見であり,椎体棘突起,腰椎横突起,脊柱起立筋,下部肋骨,骨盤部の圧痛の有無を順序よく調べる。
□尿管結石や腎盂腎炎を疑えば,肋骨脊椎角(costovertebral angle:CVA)叩打痛もチェックする。
□胃潰瘍,十二指腸潰瘍,急性膵炎では背部痛とともに上腹部の鈍痛,圧痛が認められる。婦人科領域では下腹部の圧痛を伴うことが多く,胸部,腹部の診察も行う。
□腹部大動脈瘤では,拍動性の腫瘤として触知することもある。
□椎間板ヘルニア,脊柱管狭窄症や脊椎すべり症を疑えば,下肢伸展挙上試験(straight leg raising test:SLR test)や筋力,知覚,深部腱反射を調べる。
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