□認知症(dementia)は,認知機能低下をきたす,いわば"症候群"を示す用語である。
□在宅医療においても,まず適切な原因疾患を診断することが重要である。とりわけ,うつ病,甲状腺機能低下症,慢性硬膜下血腫,特発性正常圧水頭症などの治療可能な疾患(treatable dementia)を除外することが求められる。
□主な原因疾患としてのアルツハイマー型認知症(Alzheimer-type dementia:ATD)とレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)について概説する。
□ATD:症状は認知機能障害と行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)。認知機能障害としては,記憶障害,見当識障害,失語・失行・失認,実行機能障害など。発症時期を明確に特定することはできず,緩徐に,持続的に進行し,社会・職業上の働きに支障をきたすことが特徴である。
□DLB:認知機能低下が固定する前に,覚醒レベルの変動,ありありとした具体的な繰り返す幻視や妄想,パーキンソン症状,REM睡眠行動障害,抗精神病薬への過敏性,多様な自律神経症状,抑うつなどの症状が出現する。
□訪問先の患家で画像検査はできず,血液検査で内科的疾患を除外できる程度である。そこで求められるのは,病歴と臨床症状から診断をつける力である。
□慢性硬膜下血腫・特発性正常圧水頭症を疑う場合,画像検査は必須である。
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