デスカンファレンスとは,患者死亡後に医療チームで実施したケアを振り返り,ターミナルケアに関する考えを深めるために実施するカンファレンスである。デスカンファレンスは,病院内では一般病棟,集中治療室,緩和ケア病棟などで行われている。在宅医療においても実施されているが,チームメンバーは単一の医療機関の所属ではないことも多く,様々な工夫がなされている。
病院では,患者が亡くなって1~2週間程度の比較的早期にデスカンファレンスを開催することが多い。病棟看護師などはそのほうが振り返りがしやすい。在宅ケアにおけるデスカンファレンスでは,死後,患者宅を弔問したり手紙を書いたりしているケースもあり,1~2カ月程度経過したところでデスカンファレンスを実施することがある。
ひとつの事業所内で行われるデスカンファレンスは,たとえば診療所内,訪問看護ステーション内などで行われる。医師のみ,看護師のみなど1つの職種だけで振り返ることも多いが,簡便に実施できる反面,多職種による様々な視点を持つことは難しい。
同一法人内の複数の事業所で行われるデスカンファレンスは,同一法人内にある診療所と訪問看護ステーション,居宅介護支援事業所などで定期/不定期に開催されている。医療ソーシャルワーカー(MSW)が参加する場合もある。比較的簡便に実施でき,多職種による視点を持つことができるが,固定化されたメンバーのため新しい意見は出にくい。
他事業所と行われるデスカンファレンスは,たとえば診療所と訪問看護ステーションで行われている。日程を調整する必要などがあるが,特にこれまで一緒に在宅看取りをしたことがなかったり,看取りの経験が少なかったりする診療所と訪問看護ステーションが,合同でデスカンファレンスを行うことは意見交換をする上で有用である。
病院と在宅ケア関係者でデスカンファレンスを行う場合もある。在宅または病院で看取りをした患者に関して,患者が入院していた病棟で,病院スタッフと在宅ケアスタッフが参加して行われる。上記のように病院と在宅ケアではデスカンファレンス実施のタイミングが違うが,病棟看護師など病院スタッフに在宅ケアの経過を知ってもらうためには死後1~2週間程度の比較的早期に行うことが多い。
地域全体の病院スタッフや在宅ケアスタッフの多職種でデスカンファレンスを開催している地域もある。個人情報に配慮しながら事例検討として実施している。地域全体のレベルアップを図ったり,地域のコンセンサスを形成したりするためには有用である。
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