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小児在宅医療

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
高橋昭彦 (ひばりクリニック院長)
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  • ■疾患メモ

    小児在宅医療体制の構築は国の重要課題の1つとなっている。医療の進歩により幼い命が救われる一方で,様々な障害や疾患を抱えながら生きる子どもが増えてきている。中でも人工呼吸器,気管切開,経管栄養などの医療的ケアに依存する子どもが地域で暮らすためには,在宅医療や訪問看護,レスパイトケアをはじめ,多くの社会資源が必要となる。

    ■代表的疾患

    小児在宅医療の対象となる疾患は,大きく悪性腫瘍と非悪性腫瘍にわけられる。

    【悪性腫瘍】

    脳腫瘍,白血病,悪性リンパ腫,神経芽腫,骨肉腫などの子ども。

    【非悪性腫瘍】

    様々な疾患により,人工呼吸器,気管切開,経管栄養などの医療的ケアが必要となった子どもが増えている。非悪性腫瘍の子どもが在宅医療に至るには,以下の3つの流れがある1)

    新生児集中治療室から:新生児集中治療室(NICU)で救命された,重症仮死,染色体異常,重度先天性障害などの子ども。

    小児病棟から:小児病棟で救命された内臓疾患(先天性心疾患,短腸症候群,代謝異常症,脳炎・脳症後)や,溺水,交通外傷などで救命されたが重い後遺症を残した子ども。

    移行期から:脳性麻痺などの子どもが加齢に伴い,側弯,胃食道逆流,誤嚥性肺炎などの二次障害をきたし,人工呼吸器,気管切開や胃瘻などの医療的ケアが必要となった移行期の子ども。

    *:移行期(transition)とは,小児期から成人期に移行する過程の時期であり,人によってその時期は異なる

    ■治療の考え方

    悪性腫瘍:手術,化学療法,放射線治療などの治療後に再発したものや,橋膠腫(pontine glioma)のように予後不良で摘出手術すら意味のないものがある。「家族とともに最期を自宅で過ごしたい」という希望がある場合,多くは看取りを前提とした在宅医療を行うことになる。治療は,対症療法と緩和ケアが主体となる。

    非悪性腫瘍:てんかん,心不全など原疾患に対する治療はもとより,人工呼吸器,気管カニューレ,胃瘻,などの管理・指導が必要となる,在宅医療においては,暮らしを支える家族や介護職等が行う痰の吸引や経管栄養の手技などの医療的ケアについても指導が必要となる。

    ■アセスメントのポイント

    子どもの疾患と症状は多岐にわたり,医療的ケアとそれを担う介護力,本人と家族の思いなども個別性が強いため,総合的なアセスメントと対策が必要となる。

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