□安易な抗コリン薬の使用は有害事象をまねく可能性がある1)。排尿障害の原因を考慮し投薬を開始する。男性であれば前立腺肥大症の可能性を考え,α1遮断薬の開始を優先する。
□不用意に尿道カテーテルを留置せず,留置中であれば抜去可能か検討する。
□明らかに下部尿路閉塞が原因の場合は,外科的介入で症状の改善が期待できる場合もあるので,薬物治療で症状の改善が期待できなければ専門医への紹介を検討する。
□問診により排尿状態の把握と,排尿障害によって起こっている不利益を把握する。
□問診では国際前立腺症状スコア,過活動膀胱症状スコア,排尿日誌を参考にする。可能であれば超音波で前立腺や残尿量を測定する(図)。
□多剤処方となっていることが多く,排尿障害の契機となる薬剤の有無を評価する。また既往歴も重要である。
□男性では前立腺肥大症の治療を優先し,α1遮断薬から投薬を開始する。抗コリン薬は男性の場合はα1遮断薬と併用するほうが安全である。
□抗コリン薬を使用する場合は,既に抗コリン作用を有する薬剤が投薬されていないかを確認することと,残尿量の把握が診療の助けとなる。また使用は少量から開始したほうが安全である。抗コリン薬は認知機能低下の有害事象の可能性があるため,近年発売された新規の過活動膀胱治療薬が推奨される。
□失禁の場合は,失禁のタイプ(表)と失禁量を把握する。失禁量はオムツ重量を測定することで判断する。
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