医師偏在の解消を目指した改正医療法・医師法が7月に成立したことを受けて、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」は9月28日、改正法の施行に向けた具体的な議論を始めた。同日は、都道府県が2019年度に策定する医師確保計画に必要な「医師偏在指標」の計算式を厚労省が提示し、了承された。
医師偏在指標は、現在・将来人口を踏まえた医療ニーズに基づき、地域ごと、診療科ごと、入院外来ごとの医師の多寡を統一的・客観的に把握できる、医師偏在の度合いを示す指標のこと。現在は、地域ごとの医師数の比較に人口10万人対医師数が一般的に用いられているが、医療ニーズや人口構成の変化などの要素が考慮されておらず、医師の地域偏在・診療科偏在を統一的に測る「ものさし」になっていない―との問題意識から新たに導入されることになった。
厚労省が示した計算式は「医師偏在指標=標準化医師数/地域の人口÷10万×地域の標準化受療率比」。標準化医師数は「Σ性年齢階級別医師数×(性年齢階級別平均労働時間/全医師の平均労働時間)」。地域の標準化受療率比は「地域の期待受療率÷全国の期待受療率」。地域の期待受療率は「Σ(全国の性年齢階級別受療率×地域の性年齢階級別人口)/地域の人口」とする。
なお、同改正法の主な内容と施行日は、2019年度の医師確保計画のほかに、①医師少数区域に一定期間勤務した経験を持つ医師を厚労相が認定する制度の創設(施行:2020年4月1日)、②外来医療機能の偏在・不足等の情報を可視化するため二次医療圏ごとに協議会を設け運営(施行:2019年4月1日)、③都道府県知事から大学に対する地域枠・地元出身入学者枠の設定・拡充の要請権限の創設(施行:2019年4月1日)、④国から都道府県への臨床研修病院指定権限の移譲(施行:2020年4月1日)―など。