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■急性期拠点機能は人口20~30万人ごとに1カ所確保―厚労省が提案

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厚生労働省は827日の「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」に、急性期拠点機能を担う医療機関を人口2030万人ごとに1カ所を目安として確保する案を示した。

検討会はこの日、構想区域の設定や医療機関機能などを巡り議論した。構想区域はこれまで二次医療圏単位の設定が基本とされてきたが、人口減少などにより今後、圏域内での医療の完結が困難な二次医療圏の増加が見込まれる。そのため都道府県が新たな地域医療構想を策定する際には、現行の構想区域が2040年やその先の医療提供体制を検討する区域として適切かどうか点検し、必要に応じて広域化などの見直しが求められる。

厚労省が検討会に提示した具体案によると、人口の少ない地域(人口30万人まで)は急性期拠点機能を1カ所確保・維持できるかの観点から点検を行う。こうした地域では大学病院本院を急性期拠点機能病院とする選択があり得るが、当該大学病院が三次医療圏などを対象にした広域な診療を主に提供している場合は、別に急性期拠点機能病院を確保することも可能とする。

■アクセスに課題がある地域はオンライン診療、隣接県との連携などを推進

また、広域化によって患者のアクセスに課題がある地域が局所的に生じた場合には、①国がオンライン診療の活用や巡回車の整備、隣接する県との連携などの患者のアクセスを維持するための方策を継続的に把握し、都道府県等へ共有する、②都道府県は構想区域ごとに該当する地域の有無や対応策を協議する―こととする。

大都市型(人口100万人以上)および地方都市型(同50万人程度)の構想区域は、人口2030万人ごとに1カ所を目安に急性期拠点機能病院を確保。東京など人口が極めて多い都市部については、区域内で医療資源の偏在やアクセス上の課題が生じることのないよう留意しながら適切な単位で区域を複数設定すると整理した。

一方、急性期入院医療の提供体制の検討に当たっては、医療機関の連携・再編・集約化を進めて区域内での提供を維持すべきものと、診療体制を縮小して他の区域との連携を模索するべきものを選別する必要性を指摘。そこでこうした協議の助けとなるよう、例えば国が緊急手術の件数や全身麻酔手術件数などについて、発生頻度や緊急性も加味したデータを順次提供し、都道府県が構想区域の点検に早期から取り組めるよう促す考えも示した。

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