私が暮らす山梨県南部町は県境の山間地で、平成30年10月現在の人口が7860人と減少が続く中、高齢化率は40.9%と県内5番目に高い。医療機関は当院を含め無床診療所が5件あるのみで、すべての診療所は訪問診療を実施しているが、町内には地域包括支援センターが1箇所、訪問看護ステーションが1箇所と決して多くない。
私がおばあちゃんの担当となったのは6年前、介護保険申請で診療所を訪れた時から付き合いが始まった。お嫁さんに手を引かれ来院されたおばあちゃんは高血圧と認知症があり、デイサービスの利用を希望していた。その後週2回のデイサービスに通い、いつもニコニコとお孫さんのお下がりの可愛いロボコンのTシャツを着て定期通院を続けていたが、徐々に足腰が弱くなり通院困難となったため2年前から訪問診療となった。
訪問診療開始後はケアマネを中心として訪問看護、訪問入浴を導入し、担当者会議で在宅療養の意思確認を行った。ほとんどベッド上での生活となったが定期訪問時にはいつものロボコンのTシャツでにこやかに出迎えてくれた。食事摂取量が少ない時には家族からの希望もあり適宜点滴を行っていたが、そのときだけ悲しそうな表情をみせた。
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