筆者の「物忘れ外来」では、時に想定外の患者に遭遇する。
75歳で独居のやせ形の女性。初診時、一方的に大声で話し続け、話題が拡張する。主訴は「食事中、特に夕食後に寝落ちしてしまう」。初回は今年の1月18日で、気づいたら1時間が経っていたとのこと。夕食は、飯台に食物を並べ、あぐらをかいて350mLの缶チューハイを飲みながらゆっくり摂る。本人が言う寝落ちは食事開始後30分以内に起こり、また、だらだら食べると生じやすい。好みの食事は、おむすび、せんべい、お菓子とのこと。本人は「寝落ち前のことが記憶にない。最近は毎日起こる。失神か? 寝ているのか? 気持ちが悪い」と述べた。
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