ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑京大特別教授は12月26日、京大で記者会見を開いた。本庶氏は、若手研究者が実験設備や研究費があることを理由に国内に留まることを問題視。「サイエンスは文化の一部だ」として、違う種類の文化やものの考え方を体験する重要性を訴えた。その上で、「若いうちにはぜひチャレンジをしてほしい」と呼びかけた。
一方で、「若い人を正しく評価できているのか」と指摘した。特に雑誌の評価であるインパクトファクターで論文の価値を判断することについて、「極めて良くない」と批判。「ほとんどの人は論文の中身を分かっていないという意味だ。こうした習慣はやめなくてはいけない」との考えを示した。
京大は同月6日、「本庶佑有志基金」を設置した。本庶氏は、知人からすぐに1億円の寄付があったことや自身の賞金を寄付したことを明らかにし、「滑り出しが大変良く、嬉しく思っている」と手ごたえを語った。
学術研究の発展を目的とする科学研究費助成事業の予算で政府が、2018年から19年にかけて100億円超の増額を決めたことには喜びを表しつつ、「人文科学系、理工系、生物系の配分方式が同じ規格なのは問題だ」と指摘。「生命科学で今日、100万円の研究費をもらっても何もできない。そういう分け方は、1億円を1億人に配るのと同じで、まったくの無駄遣いだ」と強調した。
会見での質疑応答は以下の通り。
私がレクチャーした会場は1000人近く入る大きな講堂で、誰でも入ることができた。来る人の大部分は研究者以外だと想定していたので、一般の人が分かるような内容かつ、研究者にとってもおもしろい内容にするため、10月からレクチャー直前まで、非常に大きな力を費やした。共同研究者の方にも貴重なアドバイスや協力をしていただいた。スライドはプロフェッショナルな人に最終的にはアレンジメントをして統一してもらった。
レクチャーは多くの人から良かったと評価をいただいた。満足している。
一方で、たくさんの共同研究者がいる中、一緒に行くことができる人数は限られ、残念だった。来ていただいた方とも緊密に交流する時間がなかった。