No.5009 (2020年04月25日発行) P.61
大塚篤司 (京都大学医学部外胚葉性疾患創薬医学講座特定准教授)
登録日: 2020-04-22
日本皮膚科学会の報告によると、30歳以下の皮膚科医における女性医師の割合は70%です(日皮会誌:175-9, 2011)。そのため、学会をあげて女性医師のキャリア支援に取り組んでいます。私はこれまで多くの女性医師の後輩を持ち、彼女たちの仕事を見てきました。皮膚科という限られた医療現場ではありますが、今の時期だからこそ、現場で取り組むべき改善策を提案したいと思います。
1つ目は病棟当番制です。10年ほど前、研修医は1年中休みなく病院に来るものでした。毎日患者さんを診察すれば、小さな変化に気づくこともでき、不測の事態への対応が可能になります。一方で、この主治医制度が負担となっている医師がいることも確かです。最近では週末が当番制の病院も増えてきました。小さなお子さんを週末誰かに預ける手筈を整えるのは大変です。週末を当番制にすることで、常勤を続けやすい環境の助けになると考えます。
2つ目が、医者の有給消化を認める雰囲気づくりです。子育て中の医師は、急遽、仕事を休まなければならない状況が訪れます。例えば、お子さんが保育園で熱を出した場合、一般的には女性が仕事を休んでお子さんを迎えに行くほうが多いのではないでしょうか。休みを取ることに抵抗を感じる職場環境では、女性医師は肩身の狭い思いをします。そして、休めない職場の雰囲気というのは、休まずに働いている同僚がつくり出している場合もあります。医師も平等に有給をとっても良い雰囲気をつくることが大事だと思います。
3つ目が、ご家族への病状説明をオンラインに切り替えることです。ご家族が病院に来られる時間が限られていたため、平日の夜や週末に説明しているケースが多々ありました。
上記3つは、新型コロナウイルス感染症のため在宅勤務が推奨されている今だからこそ取り組める課題です。ピンチをチャンスに変え、医師の働き方改革に取り組みたいものです。
大塚篤司(京都大学医学部外胚葉性疾患創薬医学講座特定准教授)[女性医師の働き方改革]