自宅で最期を迎えたい方に対する在宅緩和ケア拡大の地域のニーズと、長年外来通院された方を在宅診療でフォローしたい自院のニーズに対応するため、私たちの医院では7年前に在宅診療部門を設立しました。現在2名の常勤医と1名の非常勤医が専従し、2名が外来と兼任しています。
昨年(2019年)の在宅診療部門の新規患者数は合計55名〔男性32名(平均80.7歳)、女性22名(平均77.7歳)〕でした。紹介元は自院外来7名、他医療機関42名、直接依頼3名、ケアマネ紹介2名、施設紹介1名でした。1年間の在宅看取りは16名でした。疾患別内訳は、癌23名(平均74.5歳)、非癌32名〔フレイル群(老衰、ロコモティブ症候群、廃用性萎縮等)15名、認知症5名、慢性心不全または慢性呼吸不全5名、その他5名〕(平均86.2歳)です。癌患者さんと非癌患者さんの場合、平均年齢に大きな違いがみられます。団塊の世代の方は2025年に癌治療の中心年齢となり、2035年には非癌疾患の中心年齢になる、2つの訪問診療のピークが予想されます。訪問診療では2035年のピークも重要です。
2020年1月1日における訪問診療中の患者数は合計120名〔男性49名(平均年齢84.5歳)、女性71名(平均年齢86.2歳)〕でした。疾患別内訳は癌11名、フレイル群(老衰、ロコモティブ症候群、廃用性萎縮等)59名、認知症28名、慢性心不全または慢性呼吸不全12名、神経疾患5名、その他5名です。もともと外来診療所である当院の場合、非癌患者さんの割合が特徴となります。
訪問診療では癌患者の治療期間は2〜3カ月となるため、1年間の新規患者数と特定日の患者数調査を比較した場合、癌患者の占める割合が異なります。当院の場合、前者は41.8%、後者は9.1%です。この点を鑑み、当院では緩和ケアを中心とした診療と、徐々に身体能力が低下し寝たきりとなる高齢者のための診療では、患者さんとご家族の年齢構成と病状の進行速度が異なるので、分けて取り組んでいます。
杉浦弘明(すぎうら医院理事長)[地域医療]