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【識者の眼】「withコロナの病診連携─オンライン検討会」細井雅之

No.5019 (2020年07月04日発行) P.59

細井雅之 (大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)

登録日: 2020-06-16

最終更新日: 2020-06-16

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当院は、2008年から糖尿病病診連携として症例検討会を2カ月に1回行ってきた。2020年1月には第70回を行った。ところが、3月からは中止されたままで、このままでは「地域連携もコロナで分断」と思っていると、当地区の医師会長からインターネットを介した講演会を提案していただいた。Windowsのteamsというアプリを使っての講演会&質疑応答である。10名ほどの当地区の診療所の先生の参加で、小生が「COVID-19に負けない糖尿病診療」という内容で計60分ほど講演し、質問をいただいた。そこで今回は、オンライン検討会の利点、情報を下記に紹介したい。

*今までの症例検討会には来ていただけなかった先生にもご参加いただいた。移動時間がないので、遠方の先生など、参加できるクリニックの先生が広がり多くのアイデアを伺えた。

*「最近、コロナ太りもいる一方、若い男性は飲みに行くことがなくなり、血糖が良くなった者もいた」という糖尿病専門医。

*「家でおかきを食べることが増え、塩分摂取が増えて血圧高値が多い」という循環器専門医。

*「家にいる時間が増えたことをチャンスにして、スモールステップの運動を指導している」という素晴らしい薬剤師さん。

*「栄養指導を屋外で歩きながらやっている。数回で歩く速さが早くなった」という斬新なアイデアの管理栄養士さん。

*「運動しなさいと言っても無理。地域づくりが大切。100歳体操や、歌声喫茶の場所を提供している」という画期的な呼吸器内科医。

特に、最後の提案には驚愕した。これぞまさしく、地域診療の真髄。当院も月に1回の運動の会「もえみの会」を行ってきたが、遠方の方はなかなか来てもらえなかった。我々病院ができない「日常」を、診療所単位で創作しておられる。かかりつけ医ならではの「新たな日常生活」への介入を、教えていただいた。withコロナの病診連携の形として、ますますオンライン検討会が増えると確信した。

細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)[新型コロナウイルス感染症 ][病診連携④]

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