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地域包括ケア時代における在宅医療の現状と未来 [プラタナス]

No.4734 (2015年01月17日発行) P.3

髙瀬義昌 (NPO法人オレンジアクト理事長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-15

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  • NPO法人オレンジアクト理事長 髙瀬義昌(たかせ よしまさ)

    1956年兵庫県生まれ。84年信州大卒。東京医大大学院修了。2004年たかせクリニック開業(院長・理事長)、14年よりオレンジアクト理事長。日米医学医療交流財団専務理事。著書に『自宅で安らかな最期を迎える方法』(WAVE出版)など。

    高齢者に対する在宅医療が制度として推し進められるようになったのは1986年頃からであり、98年には現在の在宅医療制度の一番の特色とも言える24時間対応の考え方が盛り込まれた。ちょうどこの頃、私はアメリカで地域医療を学ぶ機会があった。北米(その他先進諸国)には「家庭医学」と呼ばれる分野があり、1人の医師が地域のかかりつけ医として内科や小児科、精神科の診断や治療まで担当していた。

    いずれ日本でもネットワーク型の医療が必要になると直感し、東京都大田区に在宅療養支援診療所「たかせクリニック」を開業したのは、2004年のことである。今年で11年目を迎えたわけだが、その間も在宅医療は、多少の紆余曲折はあったものの、保険点数上でも優遇され、その拡充が期待されてきたと言える。

    在宅医療では、検査機器が十分に揃っていない状況で、優先順位をつけながら診断していかなければならない。そのため、1つ以上の病気を薬物とケアで治療しながら少しずつ診断を進めていく、「診断的治療」というアプローチが必要な場合が多い。高齢者が在宅療養を始める際にまず気を付けたいのは、薬物の適正使用である。高齢者はいくつもの疾患を抱え、複数の診療科を受診しているケースが多く、各科で処方された必ずしも適正量とは言えない大量の薬剤を服用していることが多いからである。

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