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【識者の眼】「かかりつけ医と地域包括ケア(1)」鈴木邦彦

No.5028 (2020年09月05日発行) P.62

鈴木邦彦 (医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長、茨城県医師会会長)

登録日: 2020-08-18

最終更新日: 2020-08-18

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超高齢社会においては、高齢者医療と介護の一体化に伴い、「治す医療」中心から、介護との連携や看取りまでを視野に入れた「治し支える医療」中心に変わっていきます。それに伴ってかかりつけ医の役割も拡大し、より地域や社会に目を向けることが求められるようになります。それはすなわち、急性期の大病院を頂点としてかかりつけ医を底辺とする、これまでの医療のみの「垂直連携中心」から、かかりつけ医機能を持つ診療所、有床診療所、中小病院と訪問看護、介護分野のケアマネジャー、地域包括支援センターなどが同じ目線で連携する「水平連携中心」へのパラダイムシフトが起きることを意味します。この水平連携こそが地域包括ケアシステムにほかならず、そのリーダーとして期待されているのがかかりつけ医であるため、全国に813(2020年6月現在)ある郡市区医師会の役割は今後ますます重要になります。日本医師会ではかかりつけ医機能を充実・強化するため、2016年4月より日医かかりつけ医機能研修制度を開始しました。

地域包括ケアシステムを構築するためには、行政と医師会が車の両輪になる必要があり、かかりつけ医には多職種連携のまとめ役になることが求められています。ただし、郡市区医師会によってエリア内の人口規模が異なっており、人口20万人以上か、あるいは人口10万人以上でも1医師会1自治体などであれば、「自立型」として独自に地域包括ケアシステムを構築することが可能と思われます。しかし、人口5万人以下の医師会などにおいては単独では難しい場合も想定されますので、その際には周辺の複数の同規模の医師会が連携し、それを都道府県医師会が強力に支援する「連携型」か、地域の大規模な医師会が周辺の小規模な医師会を支援する「支援型」が考えられます。

鈴木邦彦(医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長、茨城県医師会会長)[地域包括ケアシステム①]

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