中央社会保険医療協議会総会は11月11日、2021年度薬価改定に関する議論の進め方について、まず薬価専門部会で検討を重ねることを了承した。その際には新型コロナウイルス感染症の影響を十分考慮することとし、関係業界のヒアリングも行う。診療側委員は、患者の受診控えにより医療機関や薬局の経営は悪化しており、「薬価改定どころではない」(松本吉郎委員・日本医師会常任理事)と訴え、薬価改定の実施も含めてゼロベースで議論すべきだとの考えを改めて示した。
薬価制度抜本改革の一環として導入される中間年の薬価改定は、21年度が初年度となる予定だった(中間年の薬価調査は20年9月取引分)。だが、20年4月の通常薬価改定の前後から新型コロナウイルスの感染が拡大し、医療機関・薬局と医薬品卸間の価格交渉が進まなかったことから、診療側委員や関係業界は薬価調査をできる状況にはないとして、当初、薬価調査の見送りを要請。最終的には、薬価改定の実施を前提としないことを条件に9月取引分での実施を了承したが、意見集約は難航を極めた。
この日の総会で診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、新型コロナ感染患者が再び増加傾向にあることや、患者の受診控えによる医療機関の経営悪化に言及。「医療現場は現在、薬価改定どころではなく、このままでは地域の医療機関がなくなる恐れがあると改めて言いたい」との主張を展開した。一方、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、2021年度の薬価改定と並行して、今後の中間年の薬価改定のあり方についても議論するべきだと指摘した。
また総会は同日、「令和2年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の調査票案も了承した。今年度は、▶かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等に関する実施状況調査(その1)、▶在宅医療と訪問看護に係る評価等に関する実施状況調査、▶医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況調査(その1)―など5つの調査を実施。複数の調査票で新型コロナウイルス感染症に関連した調査項目を新設し、20年度診療報酬改定の影響と新型コロナの影響のクロス集計ができるように工夫した。12月に調査を実施し、来年3月までに報告書をまとめる予定。