ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスを解消するため、条件付き承認制度の見直しなどを盛り込んだ医薬品医療機器法(薬機法)等改正法が5月14日、与党などの賛成多数で参院本会議で可決・成立した。共産党やれいわ新選組は反対した。
改正法は①創薬環境の整備、②医薬品安定供給体制の強化、③薬局機能の強化─などが柱。
創薬環境の整備では、現行の条件付き承認制度(一定の条件を満たした医薬品に対し検証的臨床試験の省略などを認める制度)を米国の迅速承認制度並みにすることを目指し、探索的試験の段階で臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認を与えることを可能にする。
安定供給体制の強化では、医療用医薬品の製造販売業者に対し供給体制管理責任者の設置などを義務づけるとともに、電子処方箋管理サービスのデータを活用し需給状況のモニタリングを実施する。
薬局機能の強化では、コンビニエンスストアなど薬剤師が常駐しない店舗で、薬局・店舗販売業(管理店舗)の薬剤師などによる遠隔管理の下、一般用医薬品を販売することを可能にする。都道府県知事の許可で調剤業務の一部を外部委託することも可能にする。
改正法はこのほか、後発医薬品(ジェネリック医薬品)安定供給確保のための基金や、革新的新薬の実用化支援のための基金を設置することも盛り込まれている。
衆参両院の厚生労働委員会は法案採決後に採択した附帯決議で、医薬品の添付文書への承認条件の明記や患者への情報提供など「条件付き承認制度の適切な運用」を政府に求めた。